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    M78星雲より

    Punky's Dilemma 〜サイモンとガーファンクル

    サイモンとガーファンクルの代表的なアルバムは次のとおり。

    1. Wednesday Morning, 3 A.M.
    2. Sounds of Silence
    3. Parsley, Sage, Rosemary and Thyme
    4. BOOKENDS
    5. Bridge Over Troubled Water


    前回は,"The Sun is Burning" を紹介した。実は,アルバム1枚目を順に片付けてから次に行こうと思っていた。

    ところが先日,モハメド・アリが死去し,様々な特番が放送されている。特に米議会に呼ばれて,「ベトナム戦争徴兵拒否」の信念を訴えたものの,チャンピオン資格を全て剥奪され,復帰まで3年7ヶ月のブランクとなってしまったが,マルコムXの時代の黒人系の人権を訴え,ベトナムの国民に何の恨みもないとして,議会で堂々と「徴兵拒否」を明言したのは強い信念から来ている。アリは軍人ではなくプロボクサーであって,予備兵ですらない。そこに国は「赤紙」を送りつけたのだ。1960年オリンピックの金メダルを引っさげて凱旋したアリを待ち受けていたのは,市井のレストランが黒人だからというだけで排除したことだった。アリはその金メダルを川の上から投げ捨てたという。そして,プロボクシングに転向する。その後破竹の勢いで連戦連勝し,絶頂期のチャンピオン時代に,リングに登ることを許されなくなってしまった。また,イスラム教への改宗(一旦入ったら脱退できない)でも,ギブンネーム「カシアス・クレイ」は「奴隷の名前だ」として「モハメド・アリ」というイスラム教では聖なる名前に改名する。(個人的には,「カシアス」はアリ自身によって英雄の名前になったと思っている。)

    そこで,今回はアルバム"BOOKENDS"の中から表記の曲を紹介したい。


    このアルバムのA面は,いわゆる「コンセプトアルバム」であって,人の一生を切れ目なく繋いでいる。「ブックエンドのテーマ」で始まり「ブックエンドのテーマ」で終わる。"BookendS"という感じである。

    B面は,独立した曲の集まりで構成され,「ミセス・ロビンソン」は映画「卒業」の挿入歌である。このアルバムの時期に映画が製作され,それ以前の「スカボロー・フェア」や「ザ・サウンド・オブ・サイレンス」は映画の内容とは全く関係ないのに,雰囲気でBGMに入れられている。

    今回はこのB面の中の,”Punky's Dilemma”をご紹介。左下の動画のコメントに上手い和訳が載っている。何回も聴き直してみることをお勧めする。
    リズムは違うが,ボサノバっぽく,またウキウキとした調子の部分が前半。
    折り返し点で,「嗚呼,南カリフォルニア」と歌われた直後,「もし兵隊の上位クラスになったら,君のピアノの上に僕の写真を飾ってくれるかい?」「メリージェーンへ 多幸を祈ります マーチンより」と繋がる。
    つまり,戦場から故郷の南カリフォルニアにいるメリージェーンへの手紙だったのだ。カラッとした青い空の南カリフォルニアと対照的に,ベトナムのジャングルは熱帯雨林の中,ずぶ濡れになりながら,帰りたいと願うマーチン。
    徴兵拒否をしたロジャーは人目につかないようにこそこそ外出する。basement は地階,基底部という意味だが,base には「(軍の)基地」とか「恥ずべき,卑しい」などといった意味があり,「そのドアから出て行く」というニュアンスがあるのではないか? 徴兵忌避に対する政府による厳罰,コントロールされた世論に徹底的に叩かれる時代。強烈な皮肉であるが,表現のしかたは "The Sun is Burning" に似て,静かに淡々と歌われていく。
    まだまだ,ベトナム戦争は中盤まで経っていない時期であった。(1968年)

    さて,ここで,歌詞の「折り返し点」以前をもう一度見てみよう。
    鼻歌まじりの朝の軽食のシーンが,実は,枯れ葉剤で白濁した水面に浮く屍体であったり,ジャムのようなナパームで焼き払われ黒焦げになった屍体であったことが想像される。そういうシーンをいくつも見て,「自分」もそうなるだけと歌っている。そこまで思いを馳せると吐き気を催すだろう。




    www.youtube.com/watch
      



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    1. 2016/06/14(火) 23:58:13|
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    The Sun is Burning 〜サイモンとガーファンクル

    サイモンとガーファンクルの代表的なアルバムは次のとおり。

    1. Wednesday Morning, 3 A.M.
    2. Sounds of Silence
    3. Parsley, Sage, Rosemary and Thyme
    4. BOOKENDS
    5. Bridge Over Troubled Water


    前回は,"The Sound of Silence"。
    ずいぶん間があいてしまったが,今日のオバマ大統領の広島訪問の生中継を見て,感動したので,久しぶりに1枚目のアルバムから(後日微修正するかも)。
    大統領の佇まいとスピーチは唸らせるものがあった。

    The Sun is Burning
    The sun is burning in the sky 太陽が空で燃えている
    Strands of clouds go slowly drifting by たなびく雲はゆっくり漂っている
    In the park the lazy bees 公園では のんびりした蜂が
    Are joining in the flowers, among the trees 木立の中の花に集まっている
    And the sun burns in the sky そうして太陽は空で燃えている
       
    Now the sun is in the West いま太陽は西にある
    Little kids go home to take their rest 小さな子どもたちは 休息をとるため家へ帰る
    And the couples in the park 公園のカップルたちは
    Are holdin' hands and waitin' for the dark 手をつないで暗くなるのを待っている
    And the sun is in the West そうして太陽は西にある
       
    Now the sun is sinking low いま太陽は低く沈んできた
    Children playin' know it's time to go 遊んでいた子どもたちは 家へ帰る時間だとわかっている
    High above a spot appears  空高く ひとつの点が現れ
    A little blossom blooms and then draws near その小さな花がだんだん大きくなり 近づいてくる
    And the sun is sinking low そうして太陽は低く沈んできた
       
    Now the sun has come to Earth いま太陽は地に着いた
    Shrouded in a mushroom cloud of death 死のキノコ雲に隠れ
    Death comes in a blinding flash 目を晦ます閃光が死をもたらす
    Of hellish heat and leaves a smear of ash それは地獄の灼熱で 汚れた灰を残す
    And the sun has come to Earth  そうして太陽は地に着いた
       
    Now the sun has disappeared いま太陽は消えてしまった
    All is darkness, anger, pain and fear 残ったのは 闇,怒り,痛み,恐怖
    Twisted, sightless wrecks of men ねじ曲がり 目が見えず疲れ果てた人々は
    Go groping on their knees and cry in pain ひざまずいて手探りし 痛みに絶叫する
    And the sun has disappeared....... そうして太陽は消えてしまった
      



     


     
    1. 2016/05/27(金) 21:48:39|
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    The Sound of Silence 〜サイモンとガーファンクル

    サイモンとガーファンクルの代表的なアルバムは次のとおり.

    1. Wednesday Morning, 3 A.M.
    2. Sounds of Silence
    3. Parsley, Sage, Rosemary and Thyme
    4. BOOKENDS
    5. Bridge Over Troubled Water

    「The Sound of Silence」や「Scarborough Fair」は,映画「卒業」のサントラとみなされているが,実は「卒業」のためにサイモンが作曲したのは「Mrs. Robinson」だけであり,これはアルバム「BOOKENDS」のB面に収録されている.前2曲はそれより前に出されており,「卒業」の映画監督が雰囲気だけを理由にBGMとして採用したものだ.当然,映画とは全く意図が異なり,反戦色の濃い曲である.

    「The Sound of Silence」のオリジナルはギター1本で歌われ,やはり反戦色の濃いアルバム「Wednesday〜」に収録されている.それにアルバム「Sounds of Silence」(複数形)のディレクターが勝手にエレクトリックサウンドを被せてアルバムとしたが,これにサイモンは怒っている.このエレクトリックバージョンがよくラジオなどで流れるが,意図が変質してしまっていることは確かだ.「Sounds of Silence」の曲は人々の孤立をテーマにしたものが多く,これが「The Sound of Silence」の様々な評価に大きく影響している.

    しかし,オリジナルを聴けば,自ずと真意は明らかになる.すなわち「政府に都合の悪い言論は封殺あるいは自粛され,真実が覆い隠されている」ということだ.それはギター1本で囁かれなければならない.

    方向性の不一致でデュオ解消となることになった「Bridge Over Troubled Water」には,ガーファンクルが反対したため収録されなかった曲がある.「Cuba Si - Nixon No」である.サイモンとガーファンクルが活動した時期は,世界的に「ベトナム反戦活動」が渦巻いた.

    5つのアルバムの中から,そういった曲を挙げていこうと思う.なにしろ,今日の日本は正に「サウンド・オブ・サイレンス」状態なのだから.

    The Sound of Silence
    Hello darkness, my old friend 久しぶりだね 暗黒君
    I’ve come to talk with you again また君と話しに来た
    Because a vision softly creeping なぜならあるビジョンが穏やかに忍び寄ってきて
    Left its seeds while I was sleeping 寝ている間に僕の脳に種をまいていったからだ
    And the vision that was planted in my brain 僕の脳に植え付けられたそのビジョンは
    Still remains within the sound of silence 今も残っている 沈黙の音の中で
       
    In restless dreams I walked alone 不安を感じるその夢の中で,僕は1人で歩いていた
    Narrow streets of cobblestone 敷石の狭い通りを
    ’Neath the halo of a street lamp そして街灯の照らす円光の下で
    I turned my collar to the cold and damp 僕は背筋が凍りつく悪寒に襟をそば立てた
    When my eyes were stabbed by the flash of a neon light 闇を引き裂くネオンのきらめきが僕の目を貫いたんだ
    That split the night
    And touched the sound of silence そこで沈黙の音に遭遇した
       
    And in the naked light I saw ギラギラしたネオンライトの中に僕は見た
    Ten thousand people, maybe more 1万,いや,数え切れない人々を
    People talking without speaking 人々は意味のない会話をし,本当のことを議論していない
    People hearing without listening 人々は聞き流しているだけで,耳をかたむけようとしない
    People writing songs that voices never share 人々は誰にも歌われない歌を作曲している
    And no one dare あえて誰も
    Disturb the sound of silence. その沈黙の音を妨げようとしない
       
    "Fools", said I, "You do not know" 僕は叫んだ 愚かだな! 分からないのか
    "Silence like a cancer grows"  沈黙がガンのように大きくなっているのを
    "Hear my words that I might teach you" 僕の話を聞け 教えてやるから
    "Take my arms that I might reach you" 僕の腕につかまれ 差し伸べてやるから
    But my words like silent raindrops fell しかし 僕の言葉は静かな雨音のように
    ∙∙∙ ∙∙∙ ∙∙∙ (無音)
    And echoed in the wells of silence 沈黙の井戸の中でかすかに木霊するだけだった
     
    And the people bowed and prayed
 それから人々は頭を垂れ祈祷した
    To the neon god they made 彼ら自らが創造したネオンの神に
    And the sign flashed out its warning するとお告げが光の警告を発した
    In the words that it was forming 言葉そのものを形として表示したのだ
    And the signs said: そのお告げは:
    "The words of the prophets are written on the subway walls 「預言者の言葉は,地下鉄の壁や
    and tenement halls 安アパートの入り口に書かれている
    
And whisper’d in the sounds of silence" そして沈黙の音の中でささやかれているのだ」



    1. 2015/11/18(水) 17:40:41|
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